← トップページへ戻る

古典の日

【市中の山居】

花・鳥・風・月―四つの時間

覚王山参道を上がりと日泰寺があるその奥に田舎家がある。普段は入ることができない、森川如春庵の田舎家。

そこで、異なる道を歩み、それぞれの経験と知恵を培ってきた人々が集います。偶然ばかりの縁

がつむぎ手としては驚いている。ことや、ものや、思考が、「織物を織り上げるようにしてほしい」と言っている。

そうだ、かつてや未来からの私たちへのメッセージである。私たちはこの四つの時間を机上に広げて、なぜか胸がこみあがってきています。

花 古道に学ぶ

青山俊董

愛知専門尼僧堂堂長

一宮に生まれ、幼くして故郷を離れ、仏道を歩んでこられた青山先生。ご自身が「古道に学ぶ」と題されたお話に耳を傾け、長い年月をかけて受け継がれてきた教えと、今を生きることについて考えます。

   聞き手市川櫻香

鳥 伝統と創造

加藤令吉・市川櫻香・今井勉

背戸窯二十二代目の加藤令吉先生と市川櫻香が、画家・北川民次の言葉を手がかりに、伝統と創造について考えます。

北川民次は、身近な伝統から始め、「嫌悪をつづけてさかのぼって行く」こと、そして「憎しみの果てた所」に民族性の源泉を見いだすことを記しました。受け継いだものと厳しく向き合い、問い続けた先に、何が生まれるのでしょうか。

型は、稽古を重ね、体に刻まれる。その型と心の働きが指に表れるとき、言葉では言い表せない表現が生まれる。私は、土に向かう加藤先生と、楽器に向かう今井勉さんの指に、その力を感じました。伝統を深く身につけることと、そこから新たな表現が生まれること。その出会いを見つめます。

風 森川如春庵と田舎家

谷晃・矢ヶ崎善太郎・神谷宗舎長

野村美術館館長の谷晃先生と、建築家の矢ヶ崎善太郎先生、尾張の茶家神谷宗ちょう先生が、森川如春庵と田舎家について語り合います。

如春庵は、なぜこの田舎家に心を寄せたのでしょうか。茶の湯の歴史と建築、それぞれの専門から、建物に込められた思いや、ものと人、空間の関係を見つめます。田舎家という場に残されたものを手がかりに、如春庵が大切にした世界を、じっくりとたどります。

月 香と箏曲「千鳥」

荻須昭大

今井勉

一日の終わりには、香と今井勉さんによる箏曲「千鳥」をお聴きいただきます。

六歳から平曲を学び、六十年以上にわたり、師や先人、先輩の厳しい指導のもとで伝承を守ってきた今井さん。『古今和歌集』の和歌を歌詞とする「千鳥」には、平曲とはまた異なる情趣が広がります。

長年培われた型を土台としながら、今井さんの心が音にどのように表れるのか。夕闇の訪れる田舎家で、受け継がれてきた音に耳を澄ませます。

—

「市中の山居」は、文化や歴史、もの、建築、香、地域に生まれた検校の地唄を通して、受け継がれてきた文化の豊かさに触れる一日です。